会社の同期と飲んでた帰りに、彼女が「最近マッサージ行きたいんだけど、なんかネットで変な口コミ見ちゃってさ」と言った。それが2週間くらい前で、私もなんとなく気になって、その夜に検索したのが事の始まりです。
「アジアンリラクゼーションヴィラ 変な男性客」。
サジェストに出てきたとき、ちょっと笑ってしまった。誰がこんなワードで検索してるんだろう、と思ったけど、たぶん私もその一人になった瞬間だった。
検索結果は予想通り荒れていて、掲示板の断片、極端な体験談、求人サイトの「未経験歓迎・高収入」、その全部が同じ画面に並んでいる。読めば読むほど、何が本当かわからなくなる感じ。私はこういうとき、いったん紙に書き出さないと気が済まないタイプで、コンビニで買ったメモ帳に、ぐちゃぐちゃと書きながら帰った。
書いてみてわかったのは、たぶん問題は「変な男性客がいるかどうか」じゃない、ということ。いるに決まっている。どんな業界にも一定数いる。問題はそこじゃなくて、「いる前提でどう運営されているか」のほうなんだと思う。
たとえばリラクゼーション業界は、業務委託とか指名制とか、頑張った分が個人の売上になる仕組みが多いらしい。これ自体は悪くない。むしろ私は好きなほうの仕組み。でも、売上と愛想が直結すると、断りにくさが構造として埋め込まれていく。これは会社員の私にもちょっとわかる。営業数字を持たされた瞬間に、人への態度がほんの少しだけ変わる、あの感じ。
そこに「アジアン」「リンパ」「女性セラピスト」みたいな単語が並ぶと、勝手に物語を載せてくる人が出てくる。単語に物語を載せるのは、別にその業界の責任ではないと思う。けれど、載せられた側は確実に消耗する。
friend(同期)が言っていた「変な口コミ」も、たぶん書いた本人は軽い気持ちだったんだろう。匿名で、3行くらいで、店の名前を出して、「なんか怪しかった」とだけ書く。それが検索結果の3番目に残り続けて、知らない誰かの判断を歪めていく。私はこの構造のほうが、よっぽど怖いと思った。
ここで少し脱線するけど、私は学生時代、書評ブログみたいなものをやっていた時期があって、アクセス解析を毎日見ていた。検索ワードって、書いた人の心の中身がそのまま出る。「変な男性客」で検索する人は、たぶん怖がっている人か、働こうか迷っている人か、自分の振る舞いが心配な人。9割は誠実な動機だと思う。なのに、そこに返ってくる情報の質が、検索者の誠実さに見合っていない。これがいちばん、もやっとしたところでした。
じゃあ利用者として何ができるかというと、結局すごく地味なことしかなくて、料金説明が明確か、禁止事項が書いてあるか、口コミが具体的か、店側がレビューに誠実に返信しているか、そのくらい。派手な対策はない。派手な対策がない、というのが、なんとなく救いでもある気がします。怖がりすぎなくていい、ということだから。
ひとつだけ、自分用のメモとして残しておきたいのは、「安いから」「近いから」だけで決めない、ということ。私はわりと値段で物事を決めるくせがあって、そのたびに後悔する。3,000円のランチも、1,200円のランチも、後悔の総量はあんまり変わらない。だったら最初から、安心料を払う側に回ったほうがいい。たぶんこれは、マッサージ屋さんの話だけじゃない。
同期に何を伝えるかは、まだ決めていません。あんまり長く話すとお節介になるし、短く話すと雑になる。「行く前に料金ページちゃんと読んでね」くらいに留めておこうと思います。
検索ワードに引っ張られて、夜中の1時までメモを書いてた私のほうが、よっぽど変かもしれない。
